今回紹介するオペラは『ばらの騎士』。
リヒャルト・シュトラウスが作曲したオペラです。ちなみにリヒャルトは英語風にいうとリチャードですよ。
作曲家の「シュトラウス」さんは有名な人が3人いて、全員別人なので要注意です。
ばらの騎士を作曲した、リヒャルト・シュトラウス。
ラデツキー行進曲を作曲した、ヨハン・シュトラウス(父)。
美しく青きドナウを作曲した、ヨハン・シュトラウス(子)。
話はそれますが、2人のヨハン・シュトラウスは親子で、ラデツキー行進曲 も 美しく青きドナウ も、小学校で習うような有名な曲なので YouTube などで聴いて思い出してみてください。
さて、話を戻して。『ばらの騎士』を作曲したのは、親子とは別人のリヒャルト・シュトラウス です。(リチャードのほう。)
リヒャルト・シュトラウスは、前衛的なオペラを作曲していることで有名ですが、今回のばらの騎士はストーリーも音楽も古典的なんですよ。
ばらの騎士のあらすじ
おもな登場人物
- マリー・テレーズ(元帥夫人)
- オクタヴィアン
- オックス(男爵)
- ゾフィー
あらすじ
元帥夫人であるマリー・テレーズは、オクタヴィアンとは不倫の仲。ふたりは今日も夫が留守にしているマリー・テレーズの家にいます。
そこへ突然、マリー・テレーズのいとこのオックスがやってきました。
はじめは夫が帰ってきたのかと慌てるふたりですが、そうではないとわかりほっとしたのも束の間。オックスがどかどかと上がりこんできてしまいオクタヴィアンは逃げるタイミングを失ってしまいました。仕方なく、オクタヴィアンは女装してメイドのフリをします。
オックスの用事は、ばらの騎士の役目を果たす人を見つけてほしいという依頼でした。
オックスは、新興貴族の娘ゾフィーと婚約をしたので、しきたりに従って、ゾフィーのもとにばらの騎士を送るのだと。マリー・テレーズはいとこであるオクタヴィアンをばらの騎士に推薦しました。
みんなが帰ったあと、マリー・テレーズは物思いに耽っています。自分も歳をとってしまったし、若いオクタヴィアンもそのうち自分のもとを離れてしまうだろうと…。
シーンは変わって、ゾフィーの家。今日は、ばらの騎士が訪れる日です。
ゾフィーが家で待っていると、ばらの騎士に扮したオクタヴィアンがやってきます。話がはずんで良い雰囲気の二人。
そこにゾフィーの結婚相手であるオックスがやってきました。ゾフィーにとってははじめて会う婚約者…なのですが、その感じの悪さに辟易してしまいます。オックスだけでなく、その使用人も態度が悪い!
ゾフィーはオックスとは結婚したくないとオクタヴィアンに助けを求めます。オクタヴィアンは協力することを約束しました。
ゾフィーの家での宴も終わった頃、オックスに手紙が届きます。送り主はマリアンデルから。マリアンデルというのは、オクタヴィアンがマリー・テレーズの家でメイドのフリをしたときに名乗った名前。そう、これからオクタヴィアンによる策略が始まります。
別の日の夕暮れ、オックスとマリアンデルが宿屋にやってきます。オックスはマリアンデルを口説きますが、オクタヴィアンはうまいこと交わします。
そうこうしているうちに、子連れの女性がやってきて自分の夫だと騒ぎ始めます。「パパ、パパ」と叫ぶ子どもたち。
困惑すめオックスを尻目に、今度はオクタヴィアンの呼んでおいたゾフィーの父がやってきます。
続いて、マリー・テレーズ、ゾフィーも登場。これはオクタヴィアンの計画ではなかったようです。
オックスに憤慨して結婚を破談にする ゾフィーの父。
一連の計画で観念して結婚を諦める オックス。
ゾフィーとマリー・テレーズの間で気持ちの整理がつかない オクタヴィアン。
マリー・テレーズとオクタヴィアンの関係に気づいてショックを受ける ゾフィー。
オクタヴィアンのゾフィーへの恋心に気づいて複雑な心境の マリー・テレーズ。
ゾフィーの父とオックスはその場から立ち去り、残されたオクタヴィアンとゾフィー、マリー・テレーズ。
ここで有名な三重唱が歌われたあと、マリー・テレーズは二人を残してそっと身を引きます。
見どころ
高い音があまり得意ではないごつこら。最初のマリー・テレーズとオクタヴィアンのシーンの、高音と高音の掛け合いが実はけっこう苦手です。
というのも、オクタヴィアンは男性役ではあるものの、声が高く若い男性であることを象徴するために女声のメゾ・ソプラノが歌っているんです。
それでも、このオペラを観つづけていると、最後の最後に見どころがやってきます。
それが、マリー・テレーズと、オクタヴィアン、ゾフィーの三重唱。
ばらの騎士を知っている人なら「三重唱」と聞いただけで、「ああ、あれね!」となるやつです。
この三重唱、歌っているのがよりによって マリー・テレーズ、オクタヴィアン、ゾフィー なので高音域なのですが、高音が苦手なのになぜだか聴き入ってしまいます。なんならそこだけ何回でも再生できるくらい。
正直、この曲の何がそんなに惹き付けるのか、まだわかっていません!笑
この三重唱の特徴は、3人がてんでばらばらの歌詞を歌っていること。
マリー・テレーズは、オクタヴィアンの新しい恋を応援したいという気持ちを歌っていますが、その複雑な心境が歌に表れています。
オクタヴィアンは、ゾフィーが好きになってしまったが マリー・テレーズへの気持ちが残っている様子を歌います。
ゾフィーは、オクタヴィアンへの気持ちがありながらも、オクタヴィアンにはマリー・テレーズとの関係がある戸惑いの気持ちを感じさせます。
こうして見ると、みんなが複雑な心境を表現している三重唱ですね。
…観たあとにもやもやした気持ちになるのはもしかしてこれが原因…?
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